ひろざわだいきblog

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主に上場企業の決算などから、事業内容、業績、ビジネスモデルの勉強を目的に発信しています。 最近は、リユース事業に感心を持っています。リユース事業のビジネスモデルや、市場規模の大きな領域について調べています。

中古車買取の「ガリバー」の事業モデル-利益率3倍のC向け(小売)サービスへ-

中古車買取の「ガリバー」の事業モデル-利益率3倍のC向け(小売)サービスへ-

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国内の新車販売台数は2015年は500万台をわり、約490万台となりました。車が売れなくなっていく中で、自動車産業はどのように変化するのかと興味を持ちました。

今回はまず、中古車売買のガリバーについて、決算資料などから、ガリバーの事業モデルについて述べ、収益構造について整理したいと思います。

※7月15日より社名が「IDOM」へ変更されたそうです。

 

事業モデルの変化

・従来の事業モデル

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従来、ガリバーは買い取った車をオークション(卸売)で売り切るBtoBモデルを中心に展開していた。

・新展開

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現在は、中古車オークションに出品するまでの間、プールセンターに保管してきた在庫を、各展示場に置き換えて販売するBtoCモデルを導入している。一方で、従来と同様に2週間後はオークションによって在庫をはけるBtoBモデルにより、在庫リスクを抑えている。

 

ガリバーの特徴

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参考:http://www.sharedresearch.jp/ja/

・在庫を持たない工夫

上記でも述べたが、特徴として「在庫を持たない」ということがあげられる。

上記図のように、消費者から買い取られた車はまず、消費者向けに販売される。そして、その後、2週間が経過するとオークションにて販売され、ガリバーは在庫リスクを負わない工夫がされている。

 

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参考:http://www.sharedresearch.jp/ja/

・直営店による販売 

ガリバーといえばフランチャイズ店舗が多く、ロイヤリティで収益を上げているイメージが強かったが、近年は利益率の高い小売に注力し、直営店を増加させている。

2016年7月には直営店432、加盟店88と直営店比率が高まっている。

 

2017年2月期 業績

売上は前年比31.1%増え、661億9,200万円、営業利益は前年比38.9%減少し、12億4,500万円となった。自動車の買取数は2017年2月期で48,369台、卸と小売での合計は55,215台を販売している。

 

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参考:http://221616.com/idom/investor/analysis/

 

営業利益の減少理由は下記のように記載されている。

1)国内新車市場の回復遅れ、2)複数の自動車メーカにおける燃費不正問題、3)子会社の利益減、4)未来市場開拓に向けた先行費用の増加、により営業利益は大幅減益 

引用:http://www.sharedresearch.jp/ja/7599

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参考:http://221616.com/idom/wp-content/uploads/2016/07/setsumei_20160713.pdf

 

また、決算資料説明資料中には広告の投下によって、いくつかの店舗の販売台数が大幅に上昇したことが記載されている。

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参考:http://221616.com/idom/wp-content/uploads/2016/07/setsumei_20160713.pdf

 

直営店の増加、利益率の高い消費者向け販売

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参考:http://www.sharedresearch.jp/ja/

 

売上はおおまかには1)オークションでの販売による卸売、2)画像データベースに基づいたドルフィネットによる小売事業、3)その他加盟店収入などにわけられる。

 

注目すべきは、ドルフィネットでの販売である。売上構成が30%だが、売上総利益構成比は50%と利益率の高い事業となっている。

下記では少しドルフィネットについて紹介する。

ドルフィネット

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参考:http://221616.com/idom/news/blog/20150311-15285.html 

ドルフィネットには直営、加盟店で買い取られた車の情報が全て登録されている。

ドルフィネット経由では約5万台消費者に販売されており、卸で販売した場合の2、3倍程度の利益率になっている。

このドルフィネットでは、車の画像によって把握出来る事に加え、車のオプションや走行距離など以外にも、内装の汚れや傷、車の評価を独自で加え掲載されている。

 

今後の方針

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参考:http://221616.com/idom/wp-content/uploads/2016/07/setsumei_20160713.pdf

「経営ポリシー」として「1.事業の多角化は行わない。中古車の買取・販売に高シナジーが効く事業にのみ展開、2.資産は持たない在庫・金融債権・土地などを持たないビジネスモデルで展開」を掲げている。

 

また、中長期的には

Amazon Primeの自動車版であり、月額一定額で自動車に関わるあらゆるサービス(車両本体の購入・売却、保守、乗り方など)を自動車の保有に関わらず提供していく経済圏を創り上げていくものとSR社では理解している。「車に関することならIDOMに行けば全て揃う」から更に一歩進め、車を保有しておらずとも関連サービスを享受できる

ことを目指している。

 

さらに、現在までにレポートによると下記のようなサービスも展開している。

車で「出かける」ライフスタイルを提案するショッピングモール型店舗業態「HUNT」の開業(2014年10月)や、車検専門店舗「Shake!」の開店(2015年1月)、個人間売買(C2C)を支援するスマートフォンアプリ「クルマジロ(KURU-MAJIRO)」を開始(2015年9月)するなど関連市場

 

おまけ:月額定額でクルマを自由に乗り換えられるサービス『NOREL』事前登録開始

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参考:http://221616.com/idom/news/press/20160726-19337.html

昨月、7月26日には月額定額でクルマを自由に乗り換えられるサービス『NOREL』の事前登録を開始した。

月額49,800円で納車後最短90日から乗り換えることがで、好きなクルマをネット予約し、IDOMグループの店舗で受け取れるとのこと。

 

まとめ

・ガリバーは車の買取後、オークションによるBtoBモデルで収益をあげていたが、消費者向けビジネスである小売事業BtoCモデルも導入している。

・「在庫リストを負わない」よう、買取後2週間が経過すると中古車を売却出来る工夫がされている。

・BtoCモデルによる売上総利益への寄与が高まっている。1日に約400から500台が追加される中古車データベースに基づいた「ドルフィネット」が売上総利益の50%を占めている。

・今後は、自動車を保有していない人へ向けての事業展開もすすめている。

 

さいごに

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