バングラデシュスタートアップまとめ-歴史・人口・スタートアップ・企業情報-
2017年5月の頭に1週間ほどバングラデシュに行ってきました。
事前に調べていたバングラデシュの歴史や携帯電話の普及状況、現地の方々に聞いた注目されているスタートアップについてのメモを少し公開します!
1.バングラデシュの歴史、人口など国の概要
■バングラデシュ-親日国の理由と独立の背景-
バングラデシュは1971年に独立しています。
かつては、インド、バングラデシュ、パキスタンはイギリスの植民地でした。
1947年、ヒンドゥー教とイスラム教の2つの宗教を基に、インドとパキスタンに分かれ、当時のパキスタンは、東パキスタン(現バングラデシュ)と西パキスタンを総称するものでした。
政権の中心だった西パキスタンは、東と西の公用語の統一を図り、西パキスタンにて多く話されていた言語を公用語として採用しようとしました。
しかし、それに対して、東パキスタンでは、ベンガル語を話す人たちが反発しました。
これをきっかけに、東パキスタンの自治権を主張する活動が活発になり、1971年の独立戦争へと続きます。
そして、西パキスタンはインド軍の支援も受け、独立を果たしました。
日本は、バングラデシュの独立を米、中等に先駆けて認め、またその後の一貫した経済協力を行いました。こういった経緯もあり、バングラデシュは親日国としても知られています。
■長期にわたり期待される人口ボーナス、経済成長が期待される国
バングラデシュの人口は約1.6億人と言われています。この中で、15-29歳の人口は約3,000万人、30-39歳の人口は約2,600万人と言われています。さらに、2050年には人口が2億人を超えると言われています。
日本と比べると、日本の人口は約1.2億人、15-29歳の人口は約1,200万人です。そして、2050年には1億ちょっとまで人口は減少すると言われています。
バングラデシュは、労働人口という点では、高いポテンシャルがある国です。
また、人口ボーナスが続く国は、イスラム圏に多くなると言われており、その足がかりとしても親日国であるバングラデシュは非常に魅力的な国です。
■外資資本が入っているエリア
バングラデシュで、外資系企業が多く、またIT企業が集積している地域がグルシャン、ボナニ地区です。特に、インターネット企業などはボナニ地区に集積しているとのことでした。
現地視察に行く方は、このあたりに宿泊施設をとるのをおすすめします。
(※私はオールドダッカと呼ばれるエリアにホテルをとったため、片道車で1時間近く移動していました…)
■GDP、1人あたりGDP
外務省のバングラデシュ基礎データによると2015年の実質GDPは1,566億ドル、2016年の1人あたりGDPだと1,385ドルです。
内訳は、サービス業(53.1%)、工業・建設業(31.5%)、農林水産業(15.4%)となっています。
また、経済成長率は7.11%です。
2.バングラデシュの携帯普及率、インターネット人口、スマホ普及率
■携帯普及台数、インターネット契約数
引用:バングラデシュ(詳細) | バングラデシュ(目次) | 国別に見る | 世界情報通信事情
バングラデシュでは、携帯電話は普及しており、2017年2月時点では携帯電話の加入者総数は、約1.3億です。単純計算ですが、人口に対して約80%が普及しています。
後述しますが、海外資本が入った通信事業者がシェアの多くを占めています。
また、インターネットの契約数は、2017年2月約6,700万件です。
3.バングラデシュの携帯キャリア大手
■バングラデシュの3大キャリア
・grameenphone
契約件数が5,900万件に及ぶ、バングラデシュ最大の通信会社。
1997年に以来、バングラデシュ内にてインターネットインフラへの設備投資を実施し、現在は国内シェアNo1の通信事業者となっています。
様々な国の通信事業にも関わるTelenorとグラミン銀行創業者ムハマド・ユヌス氏が設立したGrameen Telecomとのジョイント・ベンチャーです。
・robi
契約件数3,500万件の、国内シェア2位の通信会社。
国内大手のAirtelと合併し、現在はrobiとして国内シェア2位となっています。
日本から、NTTドコモが出資をしていて、現在は約7%の株式を保有しています。
・banglalink
契約件数3,100万件の、国内シェア3位の通信会社。
4.バングラデシュのスタートアップ
■ 国内最大級のバングラデシュ「ITサービス」
・bKash
バングラデシュに2400万以上のユーザーがいて、加盟店舗は3万以上、月間のトランザクションは750万ドルを超える。初期は送金サービスだったが、現在は店舗決済やプリペイド式の携帯端末に入金する機能、回収代行など幅広く提供。
また、シリアルアントレプレナーによる創業で、1社目はバングラデシュ版Craigslist「Ekhanei.com」をExit経験がある。
Ekhanei.comは、最大のGrameenphoneによって出資を受けていたor子会社としてスタート。その後、Grameenphoneの株式を55.8%保有するTelenorという通信会社によって買収された。現在は事業を停止している。
参考:https://globalpaymentsummit.com/bkash-bangladesh-24-million-customers-using-mobile-money/
説明資料:http://southasiainstitute.harvard.edu/website/wp-content/uploads/2014/08/Session-II-Huda-bKash.pdf
・bikroy
バングラデシュ版Craigslist「bikyoy」
Facebookページは300万いいね以上。現在はバングラデシュで、最もユーザーの多いクラシファイドサービス。
元々は、Saltsideスウェーデンの会社が開発したサービス。リリース後は、現地で任された人によって100%運営されている。
2015年からFacebookと連携して「Internet.org」を通して、無料でブラウジング出来るようになっている。
■バングラデシュの「EC/フードデリバリー」サービス
・HungryNaki
Foodpandの競合
外部資本が入っていないが、創業メンバーがバングラデシュ有数の富裕層。
https://www.crunchbase.com/organization/hungrynaki#/entity
・ChalDal
Y Combinatorから調達する数少ないバングラデシュの企業
https://www.crunchbase.com/organization/chaldal#/entity
・pickaboo
EC
https://www.crunchbase.com/organization/pickaboo-com#/entity
・AjkerDeal
EC
https://www.crunchbase.com/organization/ajkerdeal#/entity
・backpackbang
・Pathao
2015年にシード調達
バングラデシュ版ゴジェック
バイク便事業+相乗りサービスを提供
https://www.crunchbase.com/organization/pathao#/entity
掲載:https://www.techinasia.com/pathao-go-jek-bangladesh
■バングラデシュの「移動、物流」に関するサービス
・Chalo Technologies Ltd
バングラデシュのUber、エンジェル、VCからシード調達済み
Facebookページは22万いいねを集める。
https://www.crunchbase.com/organization/chalo#/entity
■バングラデシュの「決済」に関するサービス
・Hishab
IMJから資金調達
https://www.crunchbase.com/organization/hishab-ltd
・CloudWell
2Mドルの調達済み。電子決済を可能にするシステムの導入、機械を提供している。
https://www.crunchbase.com/organization/cloudwell#/entity
■バングラデシュ在住の日本人による創業企業
・dam.com.bd
EC事業を展開
創業期は各店舗の商品の価格を比較出来るサービスを展開していたが、注文したいというニーズからEC事業へ参入。
・Bit Makers
ウエディング/ EC/ 新卒採用事業を展開
ウエディングでの必要な情報を集めた、Biyebariでは結婚式に必要な料理、衣装の予約などが全て1つのサイトで揃う。
・Venturas Ltd.
教育事業を展開
教師向けのSaaS、PODOKKHEP(http://podokkhep.com)は生徒それぞれの学習進捗を管理するサービスなどを展開。
■その他
・Belancer.com
クラウドソーシングサービス
https://www.crunchbase.com/organization/belancer-com#/entity
おまけ
宿泊したホテルの近くの動画をアップロードしました。
オールドダッカと呼ばれる場所だそうです。